こんにちは。大関です。
今回は落語を紹介する回です。
落語『真田小僧』にはお侍さんが出てきます。
お侍さんは自身の剣技を究めるために日々WORKOUTをしていますね。
余談ですが、農民が徴兵された場合は槍を持たされます。
槍の方が刀よりも距離がとれて戦いやすいということもありますが、普段使っている鋤と動きが似ていて扱いやすいということもあるようです。
槍を突く動きが鋤を振りかぶる動きに似ているのでしょうか。
普段から戦うための訓練やWORKOUTができない農民のために考案された武器ってことですね。
刀は槍のように突くだけではなく切ることもできます。
また繊細な武器なので折らないようにする技術が必要です。
なので普段から鍛錬をし、WORKOUTをしているお侍さんが所持する武器ということですね。
話がそれましたが『真田小僧』はずる賢い子供とその子供に翻弄される親が面白おかしく描かれています。
『真田小僧』に登場するような子供がしっかり努力したら将来大物になるのかなと感じてしまいます。
それでは落語『真田小僧』をご紹介します。
人間の心理を巧みに利用してお金をだまし取る悪ガキ
「小児は白き糸のごとし」という言葉で『真田小僧』は始まります。
この言葉は幼い子供というものは染めようによって大物にも平凡にもなるということです。
この物語の主人公は悪ガキです。
いつもお駄賃をもらって遊びに行ってますが、すぐにお金を使ってしまいます。
そこで自分の父親にお駄賃を追加で貰おうとします。
「煙草に火をつけようか?」「買い物があったらすぐ行ってくるから言ってくれ」「肩でも揉もうか?」
色々下手に出て親孝行をしてはお駄賃を貰おうとしますがうまくいきません。
しまいには父親に「遊びにいってこい」と言われてしまいます。
そこで「お駄賃が欲しい」とストレートに言ってみました。
しかし父親には「今朝やったじゃないか」と断られてしまいます。
そこで子供は「じゃあお母さんにもらう」と言います。
ただ父親は「お母さんにはお父さんのお金を渡してあってお前には無駄に渡さないようにと言ってある」と言ってきました。
そこで子供は「お母さんはお父さんがいない時に男の人と会っていたことをお父さんに言うよと言ったらお駄賃くれるはず」と発言しました。
こんなことを言われたら父親としては穏やかではいられません。
「なんだその話しは?」となります。
すると子供は「聞きたかったらお駄賃ちょうだい」と言います。
かなり狡猾ですよね。
子供が言うには「お父さんがいない日にメガネをかけてステッキをついたおじさんが家を訪ねてきた」
「そのおじさんを見るなりお母さんはよく来てくれたと言って手を取って家の中に引き入れた」
「その後お母さんはいそいそと布団を敷いたよ」
「お母さんは外で遊んできなさいと言ってお駄賃をくれて家を締め出された」
「どうも変だと思って家に戻ったらピッタリ障子が閉まっていて中が見えなかった」
と発言します。
さらに子供は父親が先を聞き出そうとすると再びお駄賃を要求する抜け目のなさです。
最初は1銭でしたが気が付いた時には3銭払っており、いよいよ核心に触れる部分に話しが進みました。
子供は「お父さんもよく知っている人だよ。隣町の按摩さんが按摩しに来たんだ」と言って出かけてしまいました。
按摩とは「あんま」と読み、今でいうところのマッサージ師です。
当時は目が悪い人がなる職業でした。
なのでお母さんは手をとって家に招き入れたというわけです。
そして杖をステッキというと一気に垢ぬけるのでそれで騙されてしまったというわけですね。
自身の息子と真田幸村(ゆきむら)を比べる
真田幸村は本名は真田信繫(のぶしげ)と言います。
戦国時代の武将で戦が上手く、とても人気があります。
鎧を赤く塗る赤備えをしており、これをすると戦場で目立ちます。
これはただ目立ちたがり屋というわけではなく指揮を執りやすくするためです。
そのかわり敵から狙われやすくなるのでよほど指揮に自信がなければしない備えです。
赤くして目立っても「当たらなければどうという事はない」というわけですね。
この真田幸村の幼少期の話が父親は好きでした。
よく講釈を聞きに行っていたようです。
父親は自身の奥さんに真田幸村の講釈を教えます。
「栴檀(せんだん)は双葉より芳しというが偉い人は小さい頃から偉いんだ」
栴檀は双葉より芳しとは大成する人は幼少の時から優れているという事を説明するときに時に用いられる例えです。
「天正の何年ごろだったか忘れちまったが、天目山の戦いで武田勝頼が信州上田の真田昌幸に加勢を頼んだ」
「真田昌幸は天目山に向かうが武田勝頼が死んだ知らせが入って引き返すときに、北条氏政の軍勢に取り囲まれちまった」
「北条は大勢で真田は小勢。真田昌幸は討ち死にを覚悟したが原二郎という当時14だ。これが父親の前に膝まづいた」
「原二郎は我に永楽通宝の旗印を渡したまえとのたまったんだ」
「真田の家紋は代々二つ雁金(ふたつかりがね)なのに永楽通宝の旗印とはおかしい」
「考えてみれば敵方で北条の家臣の松田尾張守と同じ家紋だ」
「原二郎はその旗を立てて夜討ちを仕掛け、北条は松田が裏切ったと思い、混乱しているうちに父親と逃げ切った」
「どうだ。こんなことをしたのが14だよ。うちの息子は13で親からの金をだまし取りやがった」
「そして原二郎が成長して幸村となった時に二つ雁金の家紋から永楽通宝を6つ並べて六文銭の家紋に変えたということだ」
「また講釈では真田幸村は大坂では死なずに薩摩へ落ちたと言うがあれだけの武将だ。俺もこの説が有力だと思うよ」
こんなことを話していると子供が帰ってきます。
父親は子供にお金を返せと言いますが子供は「もう使っちゃってない」と言います。
あまりに早くお金が無くなってしまったので「何に使ったんだ?」と聞きます。
すると子供は「真田の講釈を聞いてきた」と言います。
父親は自身が講釈が好きなことを見透かして「講釈聞きに行った」と言ったと思ったので試したくなり「どんな話しを聞いた?」と質問します。
「天正の何年ごろだったか忘れちゃったけど天目山の戦いで武田勝頼って人が真田昌幸って人に助けを求めたの」
「それで真田昌幸って人は天目山に向かうんだけど武田勝頼は死んじゃって北条氏政って人の軍隊に取り囲まれちゃうの」
「真田昌幸って人は諦めかけるんだけど14歳の原二郎って子がいてね。この子がとっても頭がいいの。それで親はバカでね」
「で、親の前にけつまづいてね。我に永楽通宝の旗印を渡したまえって言うんだ」
「それでその旗印は敵の松田尾張守のものだから北条も松田が裏切ったって勘違いして混乱してるうちに逃げちゃったってそんな話しを聞いたよ」
これには父親も驚きます。
父親が何度も聞いて覚えた話を1度聞いて子供は理解してしまいました。
そして子供から「お父さんに質問があるんだけどいい?」と聞いてきました。
父親は許すと子供は「二つ雁金ってなに?」と聞きます。
「二つ雁金は真田の家紋で雁が2羽並んでる紋だ」
子供は納得して次の質問をします。
「六文銭ってなに?」
父親は「永楽通宝を6つ並べて六文銭だ」と答えます。
しかし子供は「どう並べるの?」「上と下でどう違うの?」などなかなか理解しません。
父親はタンスの中にあるお金を持ってきて「こうやって並べるんだ」と言いながらお金を並べます。
子供はそれを見て「並べてみていい?」と聞きます。
父親はその質問にいぶかしがりながらもお金を渡します。
「こうやって並べるんだね」と言いながら子供はお金を持って逃げてしまいます。
慌てた父親は「おい!待て!また講釈を聞きに行くのか?」
子供は「ううん。今度は焼き芋食べるの」
父親が「うちの真田も薩摩へ落ちやがった」と言って話しが終わります。
よくできた話しですよね。
これだけ頭が回る子供は珍しいです。
ただ健全な精神は健全な肉体に宿ると言います。
ということで健全な心を手に入れるためにもWORKOUTを継続していきましょう。