もうすぐハロウィンということでお花見の話をします

ワクセル 嶋村吉洋も映画で表現したい花見の仇討ち

こんにちは。大関です。

すっかり暑さも和らぎ、秋の様相になってきました。

9月ももう終わり、10月が始まりますね。

すると「ハロウィンの時期だな」と感じる人もいると思います。

ハロウィンはクリスマスに次ぐ経済効果が期待されるイベントですが、元々日本の文化ではないので毛嫌いしている人もいるかもしれません。

ちなみに僕はハロウィンで用意されるお菓子を食べたくありません。

ハロウィンとはプロテインシェイクを子供たちに振舞うお祭りである、ということなら好きになっていたかもしれません。

そしてハロウィンは仮装をします。

その日だけは現実を忘れて自分の好きなキャラクターになりきれます。

仮装をしている姿を見て、「外国の文化にかぶれてる」と思う方は少し待ってください。

実は日本にも仮装をする文化はありました。

そしていつの間にか廃れていました。

時代でいうと江戸時代。

時期は春先のお花見の時です。

ハロウィンではお化けなどに仮装します。

なのでゾンビや血だらけの看護師さんなどが主流です。

花見の仮装は江戸時代ということもあって、加藤清正の虎退治をテーマにしたりその当時の将軍をテーマにしたりしていました。

そしてその当時の様子は落語の『花見の仇討ち』という演目で生き生きと描かれています。

落語『花見の仇討ち』の概要

ワクセル 嶋村吉洋も映画で表現したい花見の仇討ち


落語は日本の文化ですが、あまり見たことがないという人も多いかと思います。

落語には人が生々しく描かれています。

今よりも当時の日本人の体格は小さく栄養価が高い食品を食べていなかったはず。

しかし当時の民衆はWORKOUTをしているかのようにバイタリティがあります。

噺は「花見行こうよ!」と威勢よく始まります。

以前『アザレア』という花の記事にも書きましたが、当時の日本はアスファルトではなく土の道で塀は土塀。

家も木造でほとんどの景色は茶色です。

『アザレア』の記事は下記リンクからご参照ください。


桜のピンク色はそれはそれは江戸時代を暮らす人々の心を明るくしたことでしょう。

ある仲良し4人組がいました。

飛鳥山の桜が満開に咲いており、人が大勢出ているのを見た1人が他の3人に花見をすることを提案します。

しかし普通に花見をしても面白くないということで、何か「花見の趣向」をしようと言います。

そこで今でいうドッキリを花見の見物客に仕掛けようという話を1人が語ります。

海外のYouTuberのようなノリですよね。

どのようなドッキリかというと、まずは飛鳥山の大きな桜の根に腰を落ち着け、笠を被った牢人風な侍が煙草をふかしているところから始まります。

そこへ巡礼している兄弟が現れ、侍に火を借ります。

火を借りるために侍に近づいた巡礼兄弟は侍の顔を見て驚きます。

「わが父を討った侍だ」ということで一足後ずさって、仇討ちの決闘をする口上を大声で述べます。

そこで見物客は「いったいなんだ?」と思って注目し、固唾を飲んで勝負を見守ります。

その時に使う刀は本身を使い、数合打ち合うことでリアリティを演出し緊張感が増したところで六部(ろくぶ)が出てきます。

六部とは旅の僧侶のことですね。

ワクセル 嶋村吉洋も映画で表現したい花見の仇討ち

出典:ろくじゅうろく‐ぶ【六十六部】‥ジフ‥ – 広辞苑無料検索


こういった見た目で背中に葛籠を背負い、各地を旅しながら修行をしています。

六部は六十六部(ろくじゅうろくぶ)とも呼ばれます。

その六部が仇討ちに割って入ります。

見物客は六部が邪魔をしたら、仇討ちに巻き込まれて切られてしまうのではないかとハラハラするはずです。

そこで背中に背負った葛籠から酒や肴を出し、4人で踊りだして「よっ!」とネタ晴らししたらきっと見物客は喜んでくれると言います。

そこで配役を決めますが、みんな仇討ちをする巡礼兄弟の役をやりたがります。

結局言いだしっぺは牢人風の侍になり、翌日の集合時間の確認をして解散になります。

翌日、言いだしっぺの牢人風の侍役の男は時間通りに飛鳥山に着き、大きな桜の根に腰を落ち着けて煙草を吸っています。

そして巡礼兄弟は少しずぼらな2人だったので集合時間に遅れ、2人で話ながら飛鳥山に向かいます。

実際に仇討ち場面では「こんな構えをしてやる」などと話しながら、抜刀していない仕込み杖を振り回していたら人に当たってしまいます。

運が悪いことに当たってしまった人は本物の侍でした。

本物の侍は2人組です。

怒った侍は無礼を働かれたと思い「叩き切ってやる」と怒号をあびせます。

するともう1人いた侍になだめられました。

「もしかしたらこの巡礼兄弟は身に大望がある人物かもしれない」と言い出します。

というのも仕込み杖の鞘が少しずれて刀が見えていたわけです。

それを見て「仇を討とうとする御仁と見た。してどなたの仇を討とうとしているのか?」と聞いてきました。

「誰の仇って言われてもなぁ…」
「やぁやぁ珍しや汝は黒煙五平太よな。8年以前わが父を討って…」
「あっ!親の仇でございます!!」

仇討ちの口上を練習していたのが役に立ちました。

侍たちには「仇が見つかるとよいな」と励まされます。

場面は変わって六部役は時間通りに家を出ました。

しかし家を出てすぐに叔父に話しかけられます。

六部の恰好をしている甥を見て、叔父は驚きます。

というのも老いた母1人を置いて旅立つところと勘違いしてしまったからです。

六部役は「花見の趣向です」と説明しますが、叔父は耳が悪く「相模から四国行く」と聞き間違えます。

なかなかわかってもらえないので叔父を酔わせて寝かせてしまおうと六部役はします。

背中に背負った葛籠から酒を出して飲ませますが、叔父の方がお酒は強かったようです。

六部役は日当たりのいい縁側で座布団を3つ並べて身を横たえて眠ってしまいます。

そんなことを知らない牢人風の侍役の男は遅れてくる巡礼兄弟を待って煙草をふかしすぎて気持ち悪くなってしまいます。

そこへ巡礼兄弟が現れます。

巡礼兄弟を叱りながら「六部も遅いなと思いながらどこかで隠れてると思うから早速やるぞ」と言って仇討ちの芝居が始まります。

巡礼兄弟が「卒爾ながら火を1つ御貸し下さい」

牢人風の侍が「ささ!寄っておつけなさい」

そこで巡礼兄弟が一足後ずさって「やぁやぁ珍しや汝は黒煙五平太よな。8年以前わが父を討って国許を立ち退きし大悪人。」などと口上を述べます。

そして「いざ立ち上がって尋常に勝負ー!!」とありったけの声をふり絞ると見物客が集まってきます。

仇討ちを見ようと十重二十重に人が集まり、その人の集まりがまた人を集めます。

すると先程、巡礼兄弟とひと悶着があった2人の本物の侍がこの人の集まりを見て近づいてきました。

そして「仇討ちだ!」という声を聞き、「もしや先程の巡礼兄弟では」と思って人ごみを割って入ります。

すると巡礼兄弟が牢人風のいかにも悪そうな侍と対峙しています。

それを見て2人の本物の侍は巡礼兄弟に助太刀を申し出ます。

あっという間に1対4になり、このままでは言いだしっぺの牢人風の侍は切られてしまいます。

ドッキリを仕掛けている3人の脳裏には「六部はまだか?」という言葉がよぎります。

本物の侍は「この男は隙だらけだ」と言います。

牢人風の侍の男は「うるせぃやい、こっちは鋤とか鍬をいつも持って剣なんかわかるか」と心の中でつぶやきます。

そして本物の侍が飛び掛かろうとした時にそれより早く逃げ出しました。

どっちが逃げたかというと3人共逃げました。

本物の侍は呼びかけます。

「待て巡礼兄弟。まだ勝負はついておらん。勝負は五分と見た」

すると3人は「いや、肝心の六部がまだ見えねえんだ」

というお話です。

江戸時代からある話でその頃から仮装する文化があることがわかります。

どんなコスプレも似合う体になるためにもWORKOUTをしましょう。

ワクセル 嶋村吉洋も映画で表現したい花見の仇討ち