テセウスの船のパラドックスを使ってWORKOUTを考えるならこうなる

嶋村吉洋さん主催ワクセルの出版作品で読みたいテセウスの船

こんにちは。大関です。

体を鍛えようとしてWORKOUTをしていてもしばらくしたらサボりたくなり、何か理由をつけて「今日はやめておこう」ということはWORKOUT初心者にはあると思います。

またWORKOUTをしていると言っている人がおり、いつからやっているのか聞いてみたら「昨日から始めた」という人がいます。

前者も後者も同じ「WORKOUTをしている」と答えると思います。

こういったことを『テセウスの船のパラドックス』で例えるとどうなるかを考えてみたいと思います。

テセウスの船のパラドックスとは

嶋村吉洋さん主催ワクセルの出版作品で読みたいテセウスの船


2020年のドラマの影響で「テセウスの船」という言葉は有名になっていると思います。

実は僕はそのドラマは見ていないのですが、パラドックス自体はとても面白いものでした。

テセウスの船のパラドックスとは、その昔ギリシャのアテナイという国を舞台にした物語が元ネタとなっています。

アテナイはクレタ島のミノスという王様によって支配され、「毎年7万人の生け贄を用意しろ」と命令されます。

ミノス王もまたミノタウロスという頭が牛の怪物に命令されていました。

それを聞いたアテナイの王子のテセウスはミノタウロスを退治しようとします。

テセウスは船に乗ってクレタ島に潜入し、ミノタウロスを見事退治し、船でアテナイに無事帰還します。

その船を「テセウスの船」としてアテナイの人々は大事に保管しました。

しかし年月がたち、船は老朽化しました。

アテナイの人々は古くなった部品を新しいものと交換し、テセウスの船をいつも新品同様に綺麗に保管します。

いつしか全ての部品が交換され、その船を見たある哲学者は「オリジナルの部品がないのにテセウスの船と言えるのか?」と言い出します。

するともう一人の哲学者が「では残しておいた老朽化した部品のみで船を作ってみればいいのか?」と言い、老朽化した部品のみの船を組み立てます。

2つの船を比較すると修復を重ねた船は立派でテセウスが乗るのにふさわしく、老朽化した部品で組み立てた船はボロボロで幽霊船のようでした。

アテナイの人々はどちらが本当のテセウスの船なのか悩んでしまいます。

テセウスの船のパラドックスをWORKOUTに置き換えると、前述した2人は「WORKOUTをしている」と言えるか微妙になってきたと思います。

 

テセウスの船のパラドックスを解くにはアリストテレスの四原因説

嶋村吉洋さん主催ワクセルの出版作品で読みたいテセウスの船

出典:Wikipedia アリストテレスのページ

アリストテレスは哲学者だけでなく、自然学者、政治学者、文学者でアレクサンダー大王の教育係をし、大学の教授もしていた天才です。

またアレクサンダー大王は32歳で亡くなるまでにギリシャからインド北西部までを平定した軍事の天才です。

そんなアレクサンダー大王を教育したアリストテレスがテセウスの船は4つの原因からテセウスの船だと主張しました。

1.質料因

これは何からできているかということです。

修復されたテセウスの船も老朽化したテセウスの船も「木」からできているので同一だということです。

WORKOUTをする人も体でできているので同一ですね。

2.形相因

これは「形」が同一か?ということです。

テセウスの船はオリジナルに沿って部品の形が作られているので、同一となります。

WORKOUTをする人はサボらなければ体を引き締めたり筋肉を大きくすることができます。

なのでアリストテレスの考え方からすると前述の2人はまだ同一ということになります。

3.作用因(運動因)

これは同じ工程で作られていれば同一のものという考え方です。

テセウスの船は同じ工程で部品が作られ、船大工が同じ工程で組み立てていれば同一となります。

WORKOUTで考えると前述の2人の工程は違いますがそれぞれ毎回同じ理由でくじけ、同じ工程で諦めてしまっていたら同一となりますね。

4.目的因

これはどんな目的で作られているかということです。

テセウスの船は修復されたものも老朽化しているものもアテナイに飾られている時はミノタウロスを倒した記念や象徴のようなもので同一です。

WORKOUTでは前述の2人はそれぞれの目的を持っており、サボっていても目的は変わっていないはずです。

以上のことからテセウスの船はアリストテレスの説では同一となります。

しかしここで「もし時間軸を戻してテセウスの船がアテナイに着いた時間に四原因の項目をクリアした船があってもそれは同一とは言わない」と言い出した人がいました。

 

四次元主義でテセウスの船は同一となる

嶋村吉洋さん主催ワクセルの出版作品で読みたいテセウスの船


確かにテセウスがアテナイに帰還した時にテセウスの船と同じ材料、形、工程、目的で作られた船があってもテセウスの船とはなりません。

しかし四次元で考えることでこの問題も解決します。

四次元とは「幅」「高さ」「奥行き」と「時間」でこの世の中は出来ているという考え方です。

例えばタイムマシンがあり、ドラえもんのようにどの時代にも行けるようになったとします。

そして5歳の頃ののび太君、10歳の頃ののび太君、25歳の頃ののび太君、60歳の頃ののび太君と会ったとします。

のび太君の見た目は大きく変わっていますが全てのび太君です。

のび太君が生きている時間軸の中で背が伸びたり、老けたりという事が起こるわけです。

テセウスの船も船が存在する時間軸の中で老朽化が起こったり修復されたりということがあるわけです。

テセウスが乗っていた船だけをテセウスの船と認め、修復を重ねた船をテセウスの船と呼ばないということは、生まれたばかりののび太君しかのび太君と認めないということになります。

テセウスの船はテセウスの船の時間軸の中でまだ最終形がないだけで、今も再生や老朽化を繰り返している存在ということですね。

前述の2人も「WORKOUTをしている」と言ってはいますが、まだ時間軸の中で最終形がないだけかもしれません。

またこのブログを読んだことでWORKOUTの最終形に近づく読者の方がもしかしたらいるかもしれません。

と、色々考えてみましたが実際は体を動かすことでしか現実は変わらないのでWORKOUTを継続していきましょう。

嶋村吉洋さん主催ワクセルの出版作品で読みたいテセウスの船