こんにちは。大関です。
今回は漫画家さんの紹介をしていきます。
ご紹介する漫画家は『花沢健吾(はなざわけんご)』さんという方です。
この方、2言で表すと
・ダメな男を描かせたら天下一品
・漫画の主テーマに行くまでの展開を丁寧に描写する
という漫画家さんです。
代表作は【アイアムアヒーロー】や【ボーイズ・オン・ザ・ラン】など。
【ボーイズ・オン・ザ・ラン】はWORKOUTをして主人公が強くなる描写があります。
花沢健吾さんは1974年1月5日に青森県に生まれました。
顔はアイアムアヒーローの主人公である鈴木英雄にそっくりです。
鈴木英雄の職業は漫画家なので自身を投影しているのかもしれませんね。
漫画家・花沢健吾の魅力が詰まった作品【ボーイズ・オン・ザ・ラン】
出典:ボーイズ・オン・ザ・ラン (1) (ビッグコミックス) | 花沢 健吾 |本 | 通販 | Amazon
まずおすすめするのは【ボーイズ・オン・ザ・ラン】です。
この漫画が花沢健吾という人物を知る上で、とても重要になると個人的に思っています。
というのも花沢健吾さんの特徴であるダメ男を描くということと、漫画の主テーマにたどり着くまでがとにかくドラマチックに描かれているからです。
【ボーイズ・オン・ザ・ラン】はボクシング漫画です。
しかし、主人公の田西敏行という西田敏行さんに酷似した名前を持つ会社員がとにかくダメな男として描かれます。
とてもボクシングをするような人物には見えません。
同僚の女子社員に惚れるも誘うことができず、妄想をして過ごす毎日。
仕方なくテレクラを利用しますが、美人局にあって怖いお兄さんに追いかけられたりします。
そして仕事内容は営業ですが、大手に圧されシェアが奪われ続けます。
そんなある日、ライバル会社である大手の同業者の営業社員と仲良くなり、2対2のダブルデートをしようと誘われます。
人のいい田西敏行はその誘いに乗り、惚れている女子社員を誘ってダブルデートに向かいます。
しかし紆余曲折の結果、一度は上手くいきかけますが、同僚の女子社員はライバル会社の営業にとられ、妊娠と中絶を経験します。
さらに女子社員は自社の秘密を他社に教えたとして解雇されることに。
影では馬鹿にされ、笑いものにされていたことも知り、ここでようやく主人公は復讐のためにボクシングを同僚に教えてもらいます。
それまでダメ男エピソードをたくさん盛り込んでおり、実際に決闘をする場面で全話の約半分です。
しかしここから主人公の田西敏行は本格的にボクシングを始め、漫画の主なテーマがはっきり読者にわかります。
たぶん普通に読んでいくと、ここまできて初めて「この漫画って題材がボクシングだったんだ」と気が付きます。
それほど人物描写や各エピソードに厚みと魅力があり、引き込まれていきます。
そして第一話の最後にボクシングの描写があり、第一話からこの物語の主軸はボクシングなんだということが表現されています。
【ボーイズ・オン・ザ・ラン】はビックコミックスピリッツで2005年〜2008年まで連載をされていました。
そして2010年に映画、2012年にはテレビドラマになっています。
8年間という長編 映画で大泉洋さんが主役を務めた【アイアムアヒーロー】
出典:アイアムアヒーロー 1 (ビッグコミックス) | 花沢 健吾 |本 | 通販 | Amazon
続いての作品は【アイアムアヒーロー】です。
上述しましたが、この作品の主人公の顔は作者の花沢健吾さんにそっくりで職業も漫画家ということで同じです。
しかし、主人公の『鈴木英雄』は名前も普通で、35歳まで連載は1度きり。
その連載も半年で打ち切られたという売れない漫画家です。
漫画を持ち込んだ出版社からは
「おもしろい漫画家はやっぱりおもしろい人生を送っている」
と暗に人生そのものを否定されるようなことも言われている描写もあります。
そんな鈴木英雄には1つの趣味がありました。
それはクレー射撃です。
普段は夜の暗闇にも怯えるほど臆病者で、「アイアムアヒーロー」と自身になんとか言い聞かせる人物ですが、銃の腕は確かでした。
そして【アイアムアヒーロー】はゾンビが街中に溢れるパニック漫画です。
この漫画を僕は単行本で読みました。
例によって上述のような主人公がダメ男とわかるエピソードを丹念に描いていきます。
そして第一巻の一番最後に見開き2ページ分を使い、襲ってくるゾンビとなった鈴木英雄の彼女を描いて、この漫画はゾンビがテーマなんだとわかる仕掛けになっています。
たまたまクレー射撃に久しぶりにいくためにショットガンを背負い、彼女の所に出かけた所からゾンビパンデミックに遭遇します。
最初からショットガンを持っているなんて、バイオハザードでは有り得ないくらい幸運です。
逃避行中に様々な人との出会いと別れを経験しながら臆病者だった主人公がここぞという場面では勇気をふりしぼったり、やっぱりダメ男のままだったり。
とにかく人間味を感じる作品だと思います。
アイアムアヒーローは2009年~2017年まで連載されています。
そして2016年に映画化されました。
映画では鈴木英雄の流れに身を任せ、主体性がないキャラクターを大泉洋さんが上手に演じていました。
2004年の段階でこれが描けることがすごい! 花沢健吾の洞察力を感じられる漫画【ルサンチマン】
出典:ルサンチマン (1) (ビッグコミックス) | 花沢 健吾 |本 | 通販 | Amazon
最後におすすめしたい漫画は【ルサンチマン】です。
元々ルサンチマンはニーチェの言葉で「弱者の強者に対する憎悪をみたそうとする復讐心が、内攻的に鬱積した心理」を指すようです。
このニーチェの言葉は、そのまま漫画の最後のオチなのかなと個人的には思っています。
作品自体は2004年〜2005年に連載されました。
この作品でも例のごとくダメ男が主人公です。
『坂本拓郎』という人物が主人公なのですが、上記の2作品の主人公よりも太っていてハゲているというとても主人公に見えない風貌をしています。
この作品では漫画の主テーマを読者が認識するまで時間がかかることはないのですが、その作品テーマに驚きます。
なんと『VR』『仮想空間』をテーマにしています。
2004年でそんなことを漫画に落とし込めているのが驚きです。
この先見の明を知るために花沢健吾さんと対談してみたいですね。
2004年はどんな年だっただろうと思って調べてみました。
テクノロジーにまつわる話題でいうと、堀江貴文さんがライブドアにまだおり、流行語で『新規参入』が選ばれた年です。
さらに『着信アリ』というホラー映画が上映されました。
確実にガラケーを使っている人が圧倒的多数の時代です。
そんな時に『VR』や『仮想空間』を題材に漫画を描こうと思うのもすごいですし、出版社もよく許可したなと思います。
坂本拓郎というダメ男は友達が仮想空間でハーレムを作っていることを知り「そんなものは現実じゃない」と思いつつ、現実の自身の悲惨さから仮想空間に興味を持ちます。
そして『月子』というソフトを偶然見つけました。
『月子』は清楚で可愛い女の子のアバターとコミュニケーションをとれるソフトでしたが、その『月子』はある仕掛けがしてある特別なソフトでした。
そんなきっかけで坂本拓郎は波乱に巻き込まれていき、最後に黒幕の存在が明かされます。
今読んでもVR装置などおかしくなく、未来を正確に言い当てた作品だなと思います。
『仮想空間』や『VR』の話題の時に驚くほどこの作品が引き合いに出されないのが個人的には悲しいと思います。
仮想空間では理想的な体は手に入れられますが、まだ一般的ではないのでまずはWORKOUTを継続していきましょう。