
こんにちは。大関です。
WORKOUTをする時は様々な人のお世話になると思います。
自分の癖や言い訳が出た時に正しい方向に導いてくれるコーチとなるような存在。
一緒にWORKOUTをしたり現状を報告し合ったりして高めあう仲間のような存在。
そしてこいつには負けたくないというライバルのような存在。
特にライバルのような存在がおり、同じようなレベルで高めあうと自分を甘やかしたくなった時にストッパーになってくれます。
今回はそんなライバルの関係を描いた落語の『笠碁』を紹介します。
「待った!」の一言から喧嘩になる

現代ではオンラインで世界中の人とゲームを通じて対戦することができます。
しかし古典落語の時代は盤を真ん中に正対して近所の人と碁や将棋をすることが最高のゲームだったと思います。
「碁将棋に凝ると親の死に目に会えない」
こんな言葉があるくらいどうしても対戦時間が長くなるものだったと思います。
笠碁は碁を打つ2人の老人のお話です。
碁が共通の趣味で子供のころからの友達。
お互いがお互いをライバルだと思っています。
「ちょっと待ってくれないかい?」
「え?」
「1目(もく)待ってくれないかい?」
勝負事で「待った!」は嫌がられます。
しかしどうしても勝ちたい時は「待った!」と言いたくなるものです。
「待ちませんよ。待ったは無しです。あなたが言ったんでしょう。」
「お前さんは強情だ!一昨年の暮れの28日。お前さんはお金を借りに来ただろう。
3日で返すと言いながら7日に来て15日まで待ってくれと言った。何を言ってるんだ昔からの仲間だろ。
遊んでる金を貸したんだ。返すのはいつでもいい。あの時待てないと言ってないだろう。だからこの1目くらいは待ってくれてもいいじゃないか。」
「お金はお金。碁は碁でしょ。」
「いや、人間がやっていることなんだからいいじゃないか。」
「その話を聞く前なら待てたかもしれませんけどね。それを言い出したら余計待てませんよ。」
「ザル。」
「えっ?」
「ザル碁。お前さんの碁は隙間だらけで大事な所で漏るんだよ」
「なんだとヘボ」
「なんだって」
「あなたの碁はヘボだ。張り合いがないから3回に1回は負けてやってるのにほんとに勝ったと思って喜んでて滑稽だよ。」
「ザル!」
「ヘボ!」
「金輪際お前さんとは碁を打たないからな!」
碁敵は憎さも憎し懐かしし

喧嘩をしてしまい、売り言葉に買い言葉で「金輪際、お前さんとは碁を打たない」とまで言いましたがそれは長く持ちません。
数日なら孫と出かけて気がまぎれますが、そう何日も出かけ続けるわけにもいかず、特に雨がシトシト降った日はやりきれないものです。
「碁敵(ごがたき)は憎さも憎し懐かしし」という言葉があるくらい好敵手は生涯得難い友達かもしれません。
1人の老人は碁を打ちにいきたいと思いますが、喧嘩した手前、相手の家を訪ねるのが気まずい。
しかし「相手の家の前を通るだけならいいのではないか?」と思いつきます。
その時に相手が声をかけてきたら「仕方ないな」という感じで碁の相手をするというプランで出かけようとします。
しかし家に傘がありませんでした。
仕方ないので菅笠(すげがさ)を被って雨の中を相手の家を目指して出かけます。
一方相手の家でも雨に倦んで喧嘩した友達が来ないかと暇を持て余していました。
庄屋をしているので番頭に「なぜあの時に喧嘩を仲裁しなかったんだ」としかりつけていました。
すると菅笠を被った友達が家の前を通り過ぎます。
最初は暖簾をくぐってくると思いましたが通り過ぎていったので「なんなんだあいつは挨拶もしないで」と怒りました。
しかしまた菅笠の友達は家の前を通り過ぎます。
ようやく察して番頭さんに碁盤を持ってくるように指示をします。
「あいつはこの碁石をはじく音を聞いたらたまらなくなって暖簾をくぐってくるぞ」
そう言いながら碁石をはじきました。
菅笠を被った友達は家の中を窺いながら様子を見ますが、あと一歩という所で入ってきません。
しびれをきらして、
「おい!ザル!」
「なっ!なんだヘボ!」
「待ってくれないからお前さんはザルだ。」
「あなたの碁は滑稽でヘボだ。」
「ふん!ここに盤が出てる。どっちがヘボだかザルだか1番くるか」
「よし来い!よし来い!」
「どっちがザルだかヘボだか、やりゃあわかりますよ。喧嘩はよしましょう。いつまでこうやってできるわけじゃなし。碁仲間ももうお互いしかいないし。」
「あれ?いけないねぇ。雨漏りをして盤面が濡れてる。」
「待った!」
「また待ったですか?」
「いや、お前さん菅笠被ったままだ。」
いつまでも張り合い続けられるライバルを見つけて切磋琢磨するためにもWORKOUTを継続していきましょう。
